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左下に一個だけ残っていたミルフィーユ…何だか気になって、それだけ注文して買ってきてしまった。
初めて入ったお店だ。どんな味だろう。
わたしは帰宅するなり、すぐに箱を開け、お皿にケーキを置いた。
……あれ?イチゴの上に、お人形さんが…?
オプションなんて、注文していないのに…サービスで付いて来たのだろうか。
赤いヘルメットとグレーのボディに、黄色いマフラー。眼のあたりはバイザーで覆われて、戦隊物のクール役のようなキャラクターだ。
きっとマジパンだろうけど、食べてしまうのは勿体ないな…。
――そう思って、見つめていたら……それが、わたしを、…見上げた。
「……」
動いた。…動いた?!
「……気付いたか」
イチゴから軽やかに飛び降りたマジパンが、わたしに話しかけてきた。
いや、そもそも、マジパンは自分で動かない。じゃあ…これは何だ?!
「……ブルースだ」
疑問符だらけなのが分かったのだろうか。自己紹介をされた。
ブルースっていうのか、この……えーと、どういう存在?
「……ミルフィーユ、好きなのか」
一番上のパイに手を掛けながら、そのブルースさんはもそりと訊ねた。
「……好きですよ」
こんな変な流れなのに…彼につられて、普通に答えてしまった。
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